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子供の傷 縫うか縫わぬか 形成外科医のつぶやき

昨日診療中に息子がけがをしたと連絡がありました。
石でできている滑り台で転んで耳の後ろを切った、とのことでした。
「傷がぱかっと開いているので十分に消毒してからテープで固定しておきました」と園医の先生から。

頭を打っているのはとても心配ですが、、緊急で検査をするほどでもなさそうです。
近隣には形成外科がなく、傷が心配でクリニックまで連れてきてもらいました。

泣きつかれて寝てしまった息子を抱きかかえておばあちゃんが登場

耳の後ろにステリテープが張られています。
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ステリテープというのは傷を寄せるのによく使われるこの画像のようなテープです。
ステリテープ表面にじんわりと出血がありました。

このステリテープ、子供の傷の処置にはよく使います。
なぜかというと、、
けがをして軽く興奮状態の子供に麻酔の注射をして縫うというのは結構至難の業だからです。
みんな全力でイヤイヤするんです。
いくら子供といえども全力で嫌がるのを抑え込むのは大変です。

息子も例にもれず全力で頭を振っていやがります。(テープをはがしたら起きました、、)


それはお子様をお持ちのお母さんならわかるとおもうのですが、、
子供は汗をかく!触る!いじる!ですぐはがれちゃうのです。
このテープは糸で縫う代わりをしているのですから、できる限り一週間ステリテープで傷を止めるとき、やってしまいがちなこと。
それはテープを短く切ってしまうこと。
息子のテープも例にもれずかなりの短さに切ってありました。
見た目的にも張りやすさ的にも短いほうがいいのですが、、お傷のことを考えると長いほうが良いのです。
なぜか?
傷が治るまで張っておきたいテープなのです。

それが途中ではがれてしまったら残念です。ですから、張れる範囲でしっかりと張るのがベストです!

話を戻して息子の傷ですが、
テープをはがすとパカッと開いておりました。
硬い骨の上の傷は結構深くなることがおおいのです。
こういう場合は縫うしかないです。

子供の傷の縫合の目安ですが、
何もしなくても傷が寄っている場合、テープで固定するだけでもOK
何もしないと傷が開いちゃう場合、ちょっとかわいそうだけど縫ったほうがベター

というわけで縫うことにしました。
局所麻酔は皮膚にうつのではなく、切れちゃった傷の中から打ちます。
(皮膚を針が貫通するときの痛みが減ります。)

できれば細い針を30G以上の針をつかってあげるとよいですね。


でもどんなに痛みを軽減しても、子供からすると抑えられて不安いっぱい。怖くて全力でイヤイヤするんです。
医者としてできることはできる限り早く的確に処置を終わらせることです。

そして、6-0という細い糸を使ってささっと最低限縫合。終了です。


ところで子供の傷、ただ縫えばいいというものではないのです。

例えば、太い糸で大きく幅をとって縫ってしまった場合。
抜糸の時期が遅すぎた場合。
そんな時には糸の縫った後が残り、(suture markといいます)傷の「醜形」がより目立つことになります。

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(スーチャーマークは私の敬愛するブラックジャック先生のお顔の傷にみられます。長い傷に垂直に無数に入る小さな横向きの傷です)

では、傷を縫わずに治した場合、どうなるのでしょうか?

パカッと開いた傷は、開いた面積の部分が赤く傷跡として残ります。
開いていない傷の場合は、傷の部分がそのまま治ります。段差などがある場合も段差があるまま治ります。
少し開いている傷の場合、少し幅のある傷で治ります。

小さな傷で収まりそうな開いていない傷を縫ったことにより、縫合糸の跡ができてしまうのであれば、縫わずにテープで止める処置やそのまま放置したほうがよいでしょう。
一言に縫うといっても、傷跡の専門家である形成外科医が適切な処置をするのと専門外の医師がただ傷を合わすためだけに縫うのとでは結果が大きく違ってくるのです。

例えば用いる糸や針も形成外科で用いるものと普通の外科で用いるものは大きく違っています。

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もったいないなぁと思いつつも、いつも使う針糸を並べてみました。

上から外科強角4号、5-0黒ナイロン15mm角針、6-0黒ナイロン11mm角針、7-0黒ナイロン11mm角針です。

まず、形成外科では皮膚を縫うときは下三つのような針と糸がもともとくっついているいわゆる「針付きの糸」を使います。
針を皮膚に貫通させたときの針穴のダメージができる限り少ないもの、という点で針付きの糸を使うのです。
そして、糸の太さも針の太さもとても小さく細いものを使うのです。
一番下の糸は目元などの薄い皮膚に使います。
しかし、、

糸が細く、針が小さければいいというわけではありません。
適切な場所に適切なものを使わないといけないのです。
大きく開いた緊張のある傷を7-0などの細い糸で縫えるわけもありません。
仮にそういった傷を細い糸で縫うとしたら、、皮膚の下の層を層ごとに縫っていく必要があります。

ただ縫うだけでないんです。結構奥が深いんです。

ですから、けがをした場合
選択は
 縫うか縫わぬか だけでなく

 「専門家に縫ってもらうかどうか」によっても違ってくるのです。

専門家が縫うのではなければテープで張っておいたほうがいい場合もあります。

あと、傷を縫う場合に大事なものがもう一つ。
けがをしてから縫うまでの時間。
あんまり時間がたった傷は縫うのに適しておりません。
12時間以上たって縫う場合、縫うことによって傷の中に細菌を閉じ込めてしまい、傷が化膿するリスクがあがります。

いろいろ書きましたが、形成外科を標ぼうしているクリニックは内科や小児科に比べると少ないです。
もう少し形成外科のクリニックの数が増えるといいですね。

医療機関の検索に便利なひまわりというサイトがあります。
東京都の医療機関案内サービスでとても便利です。
困ったときにすぐに探せるようにブックマークしておくといいかもしれませんね。

 

だいぶ長くつらつらと書いてしまいましたが、読んでいただいてありがとうございます。

当院、完全予約制となっておりますが、
保険診療の緊急の患者様がいらっしゃった際にはご予約時間からお待たせしてしまうこともございます。

ご理解のほどよろしくおねがいもうしあげます。

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2016.10.28