ケミカルピーリング

ケミカルピーリングとは

ケミカルピーリングとは皮膚に化学薬品と塗って皮膚を剥離する処置のことです。その主な目的は傷が治るプロセスを活用した皮膚の再生です。使用する薬剤やpH、試薬の濃度、施術時間、術後ケア、施術部位、湿度、皮膚の状態、湿度、温度など様々な要素により組織の深達度が変わってきます。現在日本皮膚科学会の作成したガイドラインで剥離深度は4段階に分類されており、深度によって効果が異なりますが、深くなるほど合併症などのリスクが大きくなります。

治療効果

主な効果としては皮膚のターンオーバーの促進と、薬剤の直接作用による効果(コラーゲン産生の促進やメラニン産生の抑制)の二つになります。

にきび

ケミカルピーリングの適応が最も良い疾患の一つです。特に毛嚢の閉鎖が原因のものには良い適応があります。重症のニキビの場合でも他の内服治療などと併用することにより治療効果が高まるとされています。ただ、効果の持続が短いのが難点で治療中断により再燃することが多いです。

ニキビ跡

TCAなどを用いたピーリングにより改善することが知られています。剥離深度が高い方が効果が高いですが、合併症も多いため、比較的深度の低いもので継続治療を要することが多いです。

老人性色素斑

小型のものに対しては改善が期待できます。

肝斑

ハイドロキノンという美白剤の外用とピーリングの併用により改善が期待できます。しかし施術後の遮光が必須で、化粧品による接触皮膚炎に注意が必要です。

雀卵斑

ピーリングにより色調の改善が期待できますが、紫外線暴露によって容易に再発するため注意が必要です。

炎症後色素沈着

早期の色素沈着改善にピーリングは有効です。しかし、ピーリングによる炎症により逆に色素沈着が増強する場合があり、注意が必要です。

小じわ

表皮および真皮浅層の皮膚のリモデリングによりキメや小じわの改善が期待できます。

当院で使用する薬剤について

当院では主に30%のサリチル酸マグコロールを使用し、治療を行います。この薬剤は他のピーリング剤と異なり、表皮角層のみに作用して安全に皮膚の角質を融解します。角層のみに作用するため、赤くなりにくく、疼痛も少ないです。表皮をしっかりと剥離するため、施術後12時間は化粧はせずに、紫外線散乱剤のみを使用した日焼け止めのみの使用をお勧めします。また施術後は角質のバリアがなくなることによって、様々な成分が浸透しやすくなるため、高濃度ビタミンCの外用やエレクトロポレーションなどの併用をお勧めします。肌の状態を見ながら4週間以上間隔をあけて施術を行っていきます。

施術の流れ

① 問診票を記入していただきます
② 化粧ふき取り
③ 医師によるカウンセリング(既往や内服中の薬、肌の状態、施術可能かどうかなどのチェック)
④ 写真撮影(施術前の状態の記録)
⑤ ピーリング準備(ゴーグル装着、髪をまとめる、ベッドであおむけ)
⑥ ピーリング薬剤の塗布(3~5分 刺激感や肌の状態により適宜変更します)
⑦ 洗顔もしくはふき取り
⑧ クーリング(10分)
⑨ 刺激感などの状態を確認し、終了です

リスク

施術を受けることができない方

術後遮光が十分にできない方、妊娠中・授乳中の方、免疫不全状態や他の疾患で加療中の方、ケロイド体質の方、施行部位にウィルスや細菌・真菌感染が見られる方、施行部位に外科的手術の既往や放射線治療の既往がある方、アバタレンなどレチノイドの外用または内服を行っていた方

施術中・施術後に見られること

刺激感、浮腫、水疱形成、びらん・潰瘍、痂疲、色素以上(色素沈着、色素脱失、施術部位と周囲の境界の明瞭化、既存黒子の顕在化)持続する紅斑や掻痒、一過性のニキビ増悪や毛孔拡大、毛細血管拡張、稗粒腫など

施術後にまれに見られること

瘢痕(肥厚性瘢痕、ケロイド)感染(細菌、ウィルス、真菌)アレルギー性接触皮膚炎、接触蕁麻疹など

費用

料金表はこちら

関連記事