ボツリヌストキシン注射(ボトックス®治療)

ボツリヌストキシンとは

ボツリヌストキシン(Botulinum toxin)とはボツリヌス菌という菌によって産生される毒素です。ボツリヌス毒素と表記される事もあります。ボツリヌス菌はもともと食中毒の原因として同定されたもので、ボツリヌストキシンには7種類の血清型(A、B、C、D、E、F、G)があることが知られています。現在日本で唯一認証されているボツリヌストキシンはボトックスと呼ばれるもので、これは米国のアラガン社の登録商標であり、A型ボツリヌストキシンの商品です。他にもボツリヌストキシン注射として用いられる商品にはディスポート(A型)やニューロブロック(B型)などがあります。それぞれの商品によって作用持続期間や含有タンパク量、製造方法などが異なりますが、基本的には同じような作用があります。ボツリヌストキシン注射=ボトックスではなく、あくまで、ボツリヌストキシンによる治療の一選択肢としてボトックスという商品があるのです。よく、「本物のボトックス」という文脈で使われるのはこういった経緯によるものでしょう。

ボツリヌストキシンの作用機序

ボツリヌストキシンは神経筋接合部のシナプス前終末からのアセチルコリン放出を阻害することによって作用します。これによりアセチルコリンを介した筋収縮が阻害され筋の緊張を改善します。また、神経と汗腺の接合部におけるアセチルコリン放出を阻害し、発汗を抑える作用も知られています。ボツリヌストキシンは投与されるとすぐに神経終末への取り込みが始まり、24時間以内には作用の発現がみられますが、実際に効果を実感するのは2~3日後になります。これらの機能は3ヶ月~半年くらいかけて回復してきます。

治療効果

表情シワの改善

眉間のシワや額のシワ、目尻のシワなどのシワを筋肉の動きを弱めることで改善します。主に表情を作るときにできるシワの改善が見られます。注射後、効果を実感されるまでは2~3日ほどかかります。効果の持続は場所や個人差がありますが、3か月から半年程度です。額のシワの処置は眼瞼下垂の症状があると施術できない場合があります。まずは受診し、ご相談ください。

輪郭修正

咬筋という筋肉に注射をし、ボリュームを減らすことによって小顔効果を得ることができます。特に咬筋が発達している方に効果的な治療です。ほかにも肩のラインや足のラインをボツリヌストキシン注射により筋肉のボリュームを減らすことによって輪郭を矯正することが可能です。筋肉の動きを軽減させ、使わなくなることにより、筋肉のボリューム減少を期待する施術になります。効果の実感には時間がかかります。一度の施術でも効果の実感はありますが、半年おきに2~3回繰り返すとよりはっきりと効果を実感できます。

多汗症

脇や手足にボツリヌストキシンの注射をし、汗を抑える注射になります。ごくまれに他の部位からの発汗の増加や注射部位近くの痛みを感じるという副作用の報告があります。

当院で使用するボツリヌストキシンについて

眉間の表情ジワに対し、国内で唯一製造販売承認を取得しているアラガン社のボトックスビスタ®をベースに患者様の希望や施術部位によって使い分けています。

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施術の流れ

① カウンセリング(既往や内服薬のチェック、眼瞼下垂の有無、適応の有無などのチェック)
② 注射部位に麻酔薬の塗布(20分程度)
③ 注射(5分程度)
④ 施術部位の確認(止血など)し終了。

リスク・合併症

内出血、頻回な大量投与による抗体産生、頭痛など
そのほか、注射部位によって起こりうる合併症は異なります。一度診察にご来院ください。

ボツリヌストキシン注射を受けられない方

全身性の神経筋接合部の疾患を持つ方 (重症無力症 Eaton-Lambert症候群 筋委縮性側索硬化症など)
免疫抑制剤、抗リウマチ薬などを内服されている方
癌など全身的な体調不全のある方
妊娠している方、もしくは妊娠予定の方、授乳中の方
本剤の成分に対して過敏症の既往のある方
注射部位に感染がある方
リスクについて理解できない方

費用

料金表はこちら

当院の三つのこだわり

 学会やセミナーなどに参加し常に最先端の情報を収集しております

1.安全に最大限配慮します

・顔の解剖を熟知した形成外科専門医がカウンセリングから施術までを一貫して行います。

・一人ひとりの症状に合わせ、起こりうる合併症に配慮し施術を行います。

・抗体産生のリスクにも最大限配慮した施術計画をご提供します。

・重篤な合併症が予想されうる場合はどんなにご希望があっても施術をお受けしないこともあります。

2.一人ひとりのご要望に合わせた施術を行います

・御予算に応じた注入計画をカウンセリングで提示します

・たくさんのお悩みの中から、最も効果的で必要と思われる治療をカウンセリングでご提示します。

・不必要な治療を勧めません。

3.痛みに最大限配慮します

・治療部位にもよりますが、できる限り痛みに配慮し、細い針を使います。(34Gの針)

・痛みを和らげるための麻酔についても通常の麻酔クリームよりも濃度の高いものなど、数種類の麻酔薬を準備しております。

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