こんにちは。
八重洲形成外科・美容皮膚科の原かやです。
怒涛の3日連続、学会や勉強会での発表をしてきました。
本来この時期はもう少しゆるゆるしている予定だったのですが、最近は学会だけでなく、さまざまな研究会や勉強会が増えていて、本当に忙しいですね。
そんな3連続発表の最後が、今回ご紹介する
NUVIJU®(ニュービジュ)
でした。

ニュービジュは、いわゆる「脂肪溶解注射」の一つです。
脂肪溶解注射そのものは決して新しい治療ではありません。
ただ、ニュービジュについて資料や臨床試験を詳しく見ていくと、私はこれまで日本で広く使用されてきた一部の脂肪溶解注射とは、少し違うカテゴリーで考えた方がよい製剤だと感じました。
理由は大きく2つあります。
一つは、
世界で初めてコール酸(Cholic Acid:CA)を有効成分として開発され、韓国で注射剤医薬品として承認された脂肪減少治療薬であること。
そして、もう一つ。
私はこちらの方がむしろ重要だと思っています。
「何を入れるか」だけではなく、何%の薬剤を、1点何mL、何cm間隔で、何回投与するのかまで臨床試験の中で検討されていること。
つまり、
脂肪溶解注射を「成分」だけではなく、「医薬品としてどこまで使い方まで検証されているか」で選ぶ。
ニュービジュは、そんな流れを象徴する製剤だと思っています。
この記事でわかること
・ニュービジュ(NUVIJU)とは何か
・従来の脂肪溶解注射との違い
・コール酸とデオキシコール酸の違い
・ニュービジュは何cc使うのか
・なぜカニューレを使わないのか
・第I相・第II相・第III相試験では何を調べたのか
・どのくらい効果があったのか
・どのくらい腫れるのか
・当院で実際に治療して分かったこと
・副作用や下顎縁神経への注意
・何回くらい治療するのか
・どんな人に向いているのか
まず結論|ニュービジュは何が新しいの?
NUVIJUは、韓国のバイオ製薬企業Medytox社が開発した脂肪減少注射剤です。
開発コードはMT921。
有効成分は、
コール酸(Cholic Acid:CA)1.5%
です。
2025年9月に韓国MFDSで医薬品として承認されました。
なお、日本では現時点で未承認医薬品です。
日本国内で治療に使用する場合は、医師の責任のもとで輸入・使用することになります。
ここはとても大切なので、最初に明記しておきます。
ニュービジュの大きな特徴を簡単にまとめると、
| NUVIJU | |
|---|---|
| 有効成分 | コール酸(CA) |
| 濃度 | 1.5% |
| 韓国での位置づけ | 承認医薬品 |
| 日本 | 未承認 |
| 1点あたり | 最大0.2mL |
| 注入間隔 | 1cm |
| 投与方法 | 細い針によるポイント注射 |
| 最大投与 | 第III相試験では50点、計10mL |
| 臨床試験 | 第I相・第II相・第III相 |
| 主なエビデンス | 顎下脂肪 |
という製剤です。
「DCAが入っている」ことと「その製剤が医薬品である」ことは違う
ここは脂肪溶解注射を選ぶうえで、かなり重要です。
医薬品として有名な脂肪減少注射に、AbbVie社の**KYBELLA(カイベラ)**があります。
カイベラの有効成分は、
デオキシコール酸(Deoxycholic Acid:DCA)
です。
FDA承認を取得しており、第III相試験を含め多くの臨床データがあります。
一方、日本で流通している脂肪溶解注射にも、DCAを含む製剤はたくさんあります。
ここで注意したいのが、
「DCAという有効成分にエビデンスがある」ことと、「DCAを含むその製品自体が医薬品として有効性・安全性を検証されている」ことは別
ということです。
「デオキシコール酸配合」と書いてあるからといって、その製剤にカイベラと同じ臨床試験データがあるわけではありません。
脂肪溶解注射には、
・医薬品として承認された製剤
・海外で化粧品など別カテゴリーとして流通する製剤
・複数成分を配合したカクテル製剤
・臨床試験が十分に行われている製剤
・製剤そのものについては十分なヒト臨床データがないもの
などが混在しています。
患者さんにとって、非常に分かりにくい領域なのです。
ですから私は、
「何の成分が入っているか」だけではなく、「その製剤自体がどのような開発・臨床試験を経ているか」
を見ることが重要だと思っています。
なぜ「医薬品として開発されている」ことが重要なのか
医薬品として承認される薬剤は、単に「効きそう」というだけでは製品になりません。
開発過程で、
安全性
薬物動態
濃度
投与量
投与方法
投与間隔
投与回数
有効性
有害事象
などを段階的に検討していきます。
ニュービジュの場合も、
| 試験 | 主に確認したこと |
|---|---|
| 第I相 | 安全性・忍容性・薬物動態 |
| 第II相 | 濃度・投与条件・用量設定 |
| 第III相 | 有効性・安全性をプラセボと比較 |
という流れで開発されています。
ここが、私がニュービジュを興味深いと思った一番大きな理由です。
薬剤だけでなく、「使い方」まで開発されている。
これは美容医療では非常に重要なことです。
ニュービジュは「何cc入れるか」より「何点に正確に投与するか」
脂肪溶解注射について患者さんからよく聞かれるのが、
「何cc入れるんですか?」
という質問です。
従来の脂肪溶解注射の中には、顎下や顔に数mL〜十数mL、あるいはそれ以上の液量を使用するものもあります。
ニュービジュは少し考え方が違います。
第III相試験では、
1cm間隔にマーキングし、1点につき最大0.2mL
を投与します。
最大50点ですので、試験上の最大投与量は10mLです。
ただし、
全員に10mL使うわけではありません。
脂肪が存在する範囲に合わせて投与ポイント数を決めます。
当院で治療した顎下症例では、
20ポイント・合計4mL
で治療した症例があります。
つまりニュービジュは、
大量の液体を広範囲に何となく流し込むというより、規定された少量の薬剤を一定間隔で正確に配置する
という治療です。
ここは従来の一部の脂肪溶解注射とはかなり異なります。
「使用量が少ない」ことより重要なのは、用量が検証されていること
当院で使用した4mLという液量は、従来の大容量タイプの脂肪溶解注射と比べれば少ない量です。
ただし、
少ないから優れている
という意味ではありません。
薬の場合、大事なのは単純なmL数ではありません。
重要なのは、
どの濃度の有効成分を、どの量、どの範囲に投与するか。
ニュービジュで私が評価しているのは、
「4mLだから少ない」
ではなく、
その濃度・1点あたりの投与量・投与間隔について、臨床開発の中で検討されていること
です。
ニュービジュはカニューレではなく細い針で注射する
脂肪溶解注射では、カニューレを脂肪層に入れて、広い範囲に薬液を分散させる方法もあります。
ニュービジュは違います。
顎下に1cm間隔でグリッドを描き、
一つ一つのポイントに細い針で注入します。
当院では、非常に細い
34G・長さ8mmの針
を使用しています。
1点につき最大0.2mL。
つまり、
カニューレで広い範囲に薬剤を流す治療というより、注入位置と投与量を細かくコントロールする治療
と考えると分かりやすいと思います。
なぜ1cm間隔なの?
これも単なる「メーカー推奨」だけで決められた数字ではありません。
ニュービジュでは第II相試験で濃度や投与条件が検討され、その結果、
1.5%・1cm間隔
という設計が第III相試験に採用されています。
さらに第III相では、
1点最大0.2mL
で効果と安全性を評価しています。
つまり、
注入手技そのものが薬剤治療の一部
なのです。
そもそもコール酸とは?
ここから少し医学的な話をします。
コール酸(CA)もデオキシコール酸(DCA)も、
胆汁酸
の一種です。
胆汁酸は肝臓でコレステロールから作られ、消化管内で脂肪の消化や吸収を助けています。
油と水はそのままでは混ざりません。
胆汁酸は界面活性剤のような働きをして、脂質を細かく分散させます。
脂肪減少注射は、この脂質膜に作用する性質を利用した治療です。
コール酸とデオキシコール酸は何が違う?
コール酸は、
一次胆汁酸
です。
一方、デオキシコール酸は、
二次胆汁酸
です。
一次胆汁酸が腸管内で腸内細菌による代謝を受け、DCAなどの二次胆汁酸になります。
同じ胆汁酸ですが、分子構造が異なります。
そして、その違いによって
疎水性
や
細胞毒性
にも違いが生じます。
胆汁酸の細胞毒性は、
UDCA < CA < CDCA < DCA < LCA
の順に高くなるとされています。
ニュービジュに使用されているCAは、DCAより疎水性・細胞毒性が低いのが特徴です。
「細胞毒性が低い=脂肪を壊せない」ではありません
ここは誤解されやすいところです。
「DCAより細胞毒性が低い」
と聞くと、
「それなら脂肪を壊す力も弱いのでは?」
と思いますよね。
脂肪減少薬として理想的なのは、
脂肪細胞に十分な作用を示しながら、周囲組織への不要なダメージをできるだけ抑えること
です。
NUVIJUと1%DCAを比較した非臨床の動物試験では、NUVIJUで、
・浮腫が軽い
・血腫が少ない
・潰瘍性皮膚炎が少ない
・結節形成が少ない
という結果が報告されています。
ただし、ここは非常に重要です。
これはヒトでNUVIJUとDCAを直接比較した試験ではありません。
あくまで非臨床試験です。
そのため、
「NUVIJUの方が必ずDCAより腫れない」
「必ず痛みが少ない」
と断言することはできません。
生理的pHに近い製剤設計
NUVIJUにはもう一つ特徴があります。
生体のpHに近い製剤設計
になっていることです。
DCA製剤の中には製剤上の理由から比較的アルカリ性に設定されているものがあります。
NUVIJUは生理的pHに近い設計とすることで、注入時の刺激や疼痛を抑えることが期待されています。
非臨床試験では、疼痛関連受容体やサブスタンスPの発現がDCAより低かったというデータもあります。
ただし、
「全く痛くない」という意味ではありません。
第I相試験|体内に入ったコール酸はどうなる?
ニュービジュの第I相試験では、健康成人を対象に、安全性・忍容性・薬物動態などが評価されています。
皮下注射後、一時的に上昇したコール酸の血中濃度は、
約6〜8時間でベースライン付近まで戻った
と報告されています。
さらにDCAへの変換や脂質プロファイルにも大きな変化は認められませんでした。
つまり、
皮下に投与した薬が体内でどう動くのか
から確認して開発されているわけです。
第II相試験|「どの濃度・どの間隔で使うか」を検証
第II相では、
単純に
「効いたか・効かなかったか」
だけではなく、
どの濃度と投与条件が、有効性と安全性のバランスに優れているか
が検討されています。
そして、
1.5%・1cm間隔
という条件が第III相試験へ進みました。
美容医療では、これがかなり重要です。
同じ薬剤でも、
・濃度
・1点あたりの量
・注入する位置
・注入間隔
・治療間隔
・1回の総投与量
が変われば、効果も有害事象も変わり得るからです。
第III相試験|240名を対象にプラセボと比較
第III相試験は、
中等度〜高度の顎下脂肪を有する成人240名
を対象に行われました。
試験デザインは、
多施設共同・無作為化・二重盲検・プラセボ対照試験
です。
NUVIJU 1.5%群121名、プラセボ群119名。
投与法は、
・1点最大0.2mL
・1cm間隔
・最大50ポイント
・4週間隔
・最大6回
でした。
「私の経験ではこのくらい」
ではなく、
この投与設計で効果と安全性を検証している。
ここが医薬品として開発されていることの大きな意味だと思います。
ニュービジュの効果|第III相ではどのくらい改善した?
最終投与12週後、
医師評価・患者評価の両方で1段階以上改善した割合は、
NUVIJU:88.6%
プラセボ:32.4%
でした。
さらに、
2段階以上改善
は、
NUVIJU:46.7%
プラセボ:5.4%
でした。
一部の被験者ではMRIによる評価も行われ、
顎下脂肪体積が10%以上減少した割合
は、
NUVIJU:75.9%
プラセボ:30.4%
でした。
ただし、
「88.6%の人から二重顎がなくなった」
という意味ではありません。
評価スケール上、1段階以上改善した人の割合です。
数字は正しく読む必要があります。
ニュービジュは腫れない脂肪溶解注射なの?
これはかなり聞かれます。
答えは、
腫れます。
むしろ私は、
「全く腫れません」
と説明する方が不自然だと思っています。
なぜなら、胆汁酸系の脂肪減少薬では、
脂肪細胞膜が破壊される
↓
細胞内容物が放出される
↓
炎症細胞が集まる
↓
マクロファージが脂質や細胞残骸を処理する
↓
その後、組織のリモデリングが進む
という生体反応が起こるからです。
つまり一定の局所炎症は、
薬理作用に伴う生体反応の一部
です。

「腫れない=良い脂肪溶解注射」ではない
美容医療では、
ダウンタイムが少ない=良い治療
と思われがちです。
もちろん、患者さんにとってダウンタイムが短いことは大きなメリットです。
しかし、
腫れの少なさだけで、脂肪減少効果の強さを判断することはできません。
胆汁酸系脂肪減少薬では、脂肪細胞破壊に伴う局所の炎症反応そのものが作用機序の一部です。
ですから私が重要だと思うのは、
「腫れないこと」だけではなく、必要な薬効が得られ、その生体反応が予測可能で、安全に管理できること
です。
第III相試験で見られた副作用・有害事象
第III相試験では、注射部位の局所反応はかなり高頻度に認められました。
代表的なものは、
腫脹 98.35%
硬結 93.39%
疼痛 92.56%
あざ 83.47%
です。
数字だけ見ると、
「そんなに多いの?」
と思うかもしれません。
ただし、多くは軽度〜中等度の局所反応で、多くが短期間に改善しています。
また第III相試験では最大50ポイントに注射する設計ですので、「注射部位反応」が高率になること自体はある程度想定されます。
腫れ・痛み・硬結は何日くらい続く?
臨床試験における局所反応の持続期間中央値は、
疼痛:約4日
腫脹:約6日
硬結:約4日
でした。
患者さんが自覚するダウンタイムとしては、
1週間前後
を一つの目安として説明しやすいと思います。
ただし個人差があります。
当院症例でも、比較的早く落ち着く方もいれば、腫れが7〜10日ほど続いた方もいました。

腫れが引く時期と「効果が完成する時期」は違います
ここがとても重要です。
腫れが約1週間で落ち着いたとしても、
脂肪組織の変化が1週間で終了するわけではありません。
脂肪細胞の破壊後には、炎症細胞やマクロファージによる処理、さらに組織リモデリングが続きます。
ですから、
「腫れが引いた=完成」ではありません。
当院症例から分かったこと|1か月で「効かなかった」と判断しない
これは今回、実際に治療してかなり興味深かった点です。
当院ではVectra 3Dを用いて、写真だけではなく顎下の体積変化も評価しています。
ある症例では、
初回治療から1か月後のVectra 3D評価では、体積はほとんど減っていませんでした。
まだ浮腫や炎症の影響が残っているため、わずかにボリュームが残っているように見える時期でもありました。
ところが、その後の経過で輪郭の改善がみられました。
つまり、
「1か月経ったけど変わらない。効かなかった」
と判断するのは、場合によっては早い可能性があります。
これはメーカー資料ではなく、当院でVectra 3Dを用いて経時的に評価した実臨床上の経験です。
患者さんが感じる腫れは先に落ち着いても、脂肪組織の変化はさらにその後まで続いていると考えた方がよいと思います。
ニュービジュは何回必要?
第III相試験では、
4週間隔・最大6回
で投与されています。
ただし、
全員が6回必要という意味ではありません。
当院では、
約1か月ごとに3回
治療した症例もあります。
必要な治療回数は、
・元の脂肪量
・治療範囲
・1回ごとの反応
・希望する変化
・皮膚弛緩など他の要素
によって異なります。
私は毎回、硬結や腫れなどの局所反応と、実際の輪郭変化を見ながら次回治療を判断するのがよいと考えています。



実際のダウンタイム|初回が一番腫れやすい?
当院の少数例では、
初回の腫れが最も強く、2回目、3回目になるにつれて患者さん自身が「前回より楽」と感じる傾向
がありました。
ある症例では、
・腫れは2〜3日がピーク
・7日程度でかなり軽快
・疼痛は注射直後がピーク
という経過でした。
一方、別の症例では腫れが7〜10日程度続き、皮下出血もみられました。
ですから、
「ニュービジュは絶対に腫れない」
とは説明していません。
また、「必ず2回目から腫れなくなる」というデータでもありません。
あくまで当院の少数例でみられた傾向として、今後さらに症例を重ねて見ていきたいと思っています。
顎下脂肪治療では下顎縁神経に注意が必要
顎下に注射する治療で重要なのが、
下顎縁神経
です。
この神経に障害が起こると、一時的に口角の左右差などが生じることがあります。
NUVIJUの第II相試験では133例中、下顎縁神経麻痺は0例と報告されています。
ただし、
「NUVIJUなら下顎縁神経障害は起こらない」
という意味ではありません。
注射治療ですから、正しい解剖学的知識と注入位置が非常に重要です。
試験では、
下顎縁から1〜1.5cm下方より上には投与しない
など、安全性を考慮した注入基準が設定されています。
安全性は、
製剤の性質だけではなく、解剖学的知識と正しい注入技術
によって成り立ちます。
ニュービジュはどんな人に向いている?
現在、最も十分なエビデンスがあるのは、
成人の中等度〜高度の顎下脂肪
です。
例えば、
・二重顎・顎下脂肪が明らかにある
・脂肪吸引までは希望していない
・外科手術をせず輪郭を少しずつ改善したい
・皮膚の弾力が比較的保たれている
・注射治療で顎下脂肪を減らしたい
という方は治療を検討しやすいと思います。
「二重顎=ニュービジュ」ではありません
ここは私がかなり大事にしているところです。
顎下がもたついて見える原因は、
脂肪だけではありません。
例えば、
・顎下脂肪
・皮膚弛緩
・広頚筋
・下顎骨の形
・顎の後退
・顎下腺
・骨格
などが関係します。
皮膚の弛緩が非常に強い方で脂肪だけを減らすと、逆に皮膚の余りが目立つこともあります。
ですから、
「脂肪を減らしたら本当にきれいになる顔なのか」
を先に診断することが重要です。
HIFU・RF・ボトックスとの違い、併用について
顎下やフェイスライン治療を、
「二重顎治療」
だけで考えると、治療選択を間違えることがあります。
私はむしろ、
輪郭形成
として考えています。
例えば、
NUVIJU
→ 脂肪量を減らす
HIFU・RF
→ 皮膚・皮下組織を引き締める
咬筋ボトックス
→ 下顔面の横幅を調整する
広頚筋ボトックス
→ 下顔面〜頚部の輪郭を調整する
というように、それぞれ作用する場所が違います。
その人の輪郭を重く見せている原因がどこにあるのか。
そこから治療を組み立てることが大切です。
ニュービジュは顎下以外にも使える?
現時点で最も十分な臨床データがあるのは、
成人の顎下脂肪
です。
頬やボディなど、その他の部位については、顎下と同じレベルで有効性と安全性が確立されているわけではありません。
「顎下で脂肪が減るなら、どこにでも打てる」
というものではありません。
部位ごとに解剖もリスクも異なります。
従来の脂肪溶解注射とニュービジュの違い
かなり簡単にまとめると、こうなります。
| 従来の脂肪溶解注射の一部 | NUVIJU | |
|---|---|---|
| 主成分 | DCAや複数成分など | コール酸(CA) |
| 承認状況 | 製剤によりさまざま | 韓国で医薬品承認 |
| 日本 | 多くは未承認 | 未承認 |
| 臨床試験 | 製剤ごとに異なる | 第III相まで実施 |
| 1点の量 | 製剤・施設による | 最大0.2mL |
| 注入間隔 | 製剤による | 1cm |
| 注入方法 | カニューレを用いるものも | 細い針でポイント注射 |
| 1回量 | 大容量タイプもある | 最大10mLの試験設計 |
| pH | 製剤ごとに異なる | 生理的pHに近い設計 |
| 効果評価 | 製剤により大きく異なる | プラセボ対照第III相試験 |
もちろん、
「従来製剤」と一括りにすることはできません。
それぞれの製剤について、成分・濃度・承認状況・臨床データを個別に確認する必要があります。
ニュービジュについてよくある質問
Q. ニュービジュとは何ですか?
コール酸(CA)を有効成分とする脂肪減少注射剤です。韓国で医薬品として承認されています。
Q. 日本で承認されていますか?
いいえ。現時点では日本では未承認医薬品です。
Q. 何cc使いますか?
第III相試験では1点最大0.2mL、1cm間隔、最大50点です。
最大投与量は10mLですが、必ず10mL使うわけではありません。
当院では顎下に20点・合計4mLを投与した症例があります。
Q. カニューレを使いますか?
基本的にはカニューレで広げる方法ではなく、細い針で1cm間隔にポイント注射します。
当院では34G・8mmの針を使用しています。
Q. ニュービジュは腫れますか?
はい。腫れます。
臨床試験では腫脹は高頻度にみられています。
中央値では約6日でしたが、個人差があります。
Q. 痛みはありますか?
あります。
臨床試験での疼痛の持続期間中央値は約4日です。
Q. 硬くなりますか?
一時的な硬結が生じることがあります。
第III相試験では高頻度に認められています。
Q. 1回で効果は出ますか?
1回で変化を感じる方もいると思いますが、第III相試験では4週間隔で最大6回投与されています。
当院の経験では、1か月ではまだ十分に効果判定できない症例もありました。
Q. 何回くらい必要ですか?
必要回数は脂肪量や治療範囲、希望する変化によって異なります。
当院では3回治療した症例があります。
Q. 効果はいつ分かりますか?
注射直後ではありません。
最初はむしろ腫れ、その後、壊れた脂肪細胞が処理され、組織リモデリングを経て輪郭の変化が現れます。
数週間〜数か月単位で評価する治療です。
Q. ニュービジュとカイベラの違いは?
カイベラはデオキシコール酸(DCA)を有効成分とするFDA承認医薬品です。
一方、NUVIJUはコール酸(CA)を有効成分とし、韓国MFDSで承認された医薬品です。
同じ胆汁酸系の脂肪減少薬ですが、有効成分や製剤設計が異なります。
Q. ニュービジュとカベリンの違いは?
最も大きな違いの一つは有効成分です。
ニュービジュはコール酸(CA)を使用しています。
一方、カベリンはデオキシコール酸(DCA)を含む製剤です。
また、製剤ごとに承認状況や臨床試験の内容が異なるため、単純に「どちらも脂肪溶解注射」と一括りにはできません。
Q. ニュービジュとBNLSは同じですか?
同じ「脂肪溶解注射」と呼ばれることがありますが、成分、開発経緯、承認状況、臨床試験の内容が異なります。
Q. ニュービジュと脂肪吸引、どちらがいいですか?
大きな脂肪量を一度に減らしたい場合には、脂肪吸引が適していることがあります。
一方、
・手術を避けたい
・ダウンタイムを抑えながら少しずつ輪郭を変えたい
・注射治療を希望する
という場合には、脂肪減少注射が選択肢になります。
どちらが適しているかは、脂肪量や皮膚の弛緩、骨格によって異なります。
Q. 二重顎なら誰でもニュービジュの適応ですか?
いいえ。
二重顎に見える原因が皮膚弛緩、骨格、広頚筋などの場合には、NUVIJUだけでは十分な改善が得られない可能性があります。
まとめ|ニュービジュの新しさは「コール酸」だけではない
NUVIJU(ニュービジュ)について、
「世界初のコール酸の脂肪溶解注射」
という部分が注目されがちです。
もちろん、それも大きな特徴です。
でも私がニュービジュについて一番重要だと感じているのは、
“薬剤として、使い方まで開発されている”
という点です。
第I相で安全性や薬物動態を確認する。
第II相で濃度や投与条件を検討する。
そして第III相で240名を対象にプラセボと比較する。
その結果として、
コール酸1.5%
1点最大0.2mL
1cm間隔
細い針によるポイント注射
という投与方法が作られています。
つまり、
脂肪溶解注射を
「何の成分が入っているか」
だけで選ぶのではなく、
どの薬剤を、どの濃度で、どの量、どの場所に、どの間隔で投与するのか
まで含めて考える。
ニュービジュは、脂肪溶解注射をより標準化された脂肪減少薬による治療へ近づけた製剤の一つなのではないかと私は考えています。
そして、薬剤が良ければそれだけで治療がうまくいくわけでもありません。
顎下が重く見える理由は、
脂肪なのか。
皮膚なのか。
筋肉なのか。
骨格なのか。
そこを診断して、
「この人は脂肪を減らしたら本当にきれいになるのか」
を判断する。
八重洲形成外科・美容皮膚科では、新しい薬剤をただ導入するのではなく、診断・解剖・薬剤・機器を組み合わせながら、その方に合った輪郭治療を考えていきたいと思っています。

顎下脂肪・二重顎が気になる方へ
二重顎やフェイスラインのもたつきは、脂肪だけでなく、皮膚弛緩・筋肉・骨格など複数の要因で生じます。
当院では、まずどこが原因なのかを診察したうえで、
NUVIJU
HIFU
RF
ボトックス
外科治療
などから適した方法をご提案します。
「脂肪溶解注射をした方がいいのか分からない」という方も、まずはご相談ください。
