眉下切開を受ける前に読んでほしい

最近流行ってるんです、たぶん。眉下切開。

すごくカウンセリングが多いです。びっくりするほどに多い。まるで、二重の埋没法(切らない手術)を受けるノリで眉下切開を検討している人がそれなりの数いらっしゃる。

びっくりします。うちのような広告を出さない、小さなクリニックですらたくさんの人がいらっしゃっていますので、全体としてはとても多いのではないかと考えています。

たしかに、眉下切開は良い手術だと思うし、仕上がりも自然です。大好きな手術です。

でも、
そもそも切開の手術なので必ず傷が残ります。

傷は100%残ります。

100%です。

なくなることはないです。ただ目立ちにくくなるだけ。

これは私が手術するから、100%なのではなく、どんな名医が切っても100%傷跡が残るのです。人の皮膚は切れば必ず傷が残ります。

ただ、目立つ場所と目立たない場所がありますし、目立ちにくい人がいることは確かです。

もう一回言います。

傷はなくなりません

体質的に目立たない人はいます。
傷は白くなるので色白、肌薄め、皮脂少な目、年齢が比較的高い、などは目立ちにくい傾向にあります。

もしあなたの眉毛が長く、ふさふさなら眉毛に隠れるので物理的に眉に傷が隠れ、傷跡は目立たない可能性が高いです。
ただ、骨格を無視した眉毛を書いている場合、今の眉に沿って傷を作ると目立ちます。
たとえば、さがりまゆがはやっているからと、眉の上を脱毛して、目と眉毛を近く書いている人。眉毛の位置は加齢とともに変化します。上がったり下がったり。ですので、骨格に沿った眉がベストです。
メイクで書いている眉の位置が骨格から大きくずれている場合、そこに切開線を作ってほしいといわれても、私は手術をお断りすることが多いです。

眉下切開のダウンタイム

眉下切開のダウンタイムは比較的短いです。
しかし、この場合のダウンタイムとはあくまで腫れや内出血の意味です。

切った後の傷跡は日に日に赤くなったりすることがあります。
半年から一年かけて傷は落ち着いてきます。
その間に小さなトラブルが起こることが多いです。よくあるのは皮膚の下を縫った糸が出てくることです。皮膚の切開線にそって、ニキビのようなものができます。簡単な処置で改善しますが、遠方から受けに来られる方は注意が必要です。
これは、埋没糸膿瘍などと言われることがある、よくあることなのです。
手術をする医師のスキルによることもあるかもしれませんが、経験上、同じように縫っても、患者さんの体質によって、出てきやすい人と、そうでない人がいるのは確実です。
ですから、遠方から手術を受けに来られる方はその点をしっかり考慮していただいてからご判断ください。

あなたは今どんなライフステージに立っていますか?

術後傷が目立つ、約一年、大丈夫ですか?
人との接近戦に自信が持てなくなる可能性がありますよ?
あなたのこれからの一年、接近戦が苦手になるかもしれません。

人生のいろいろなイベントが終わって、あとは、のびのび暮らしていこう、というライフステージの方はよいとおもいますが、これから、たくさんの出会いがあり、ライフステージが変動する可能性がある場合、その傷があなたの人生にマイナスにならないかよく考えて下さい。
瞼の皮膚が普通に生きていて縮むことはないです。
手術の適応がある方でも、手術を受けるタイミングはすごく大事です。
いつ、手術を受けるか、よくかんがえてください。

眉下切開以外の方法は検討してみましたか?

その眉下切開は、他の手段では変わりがきかないですか?
切る前にできることはためしてみましたか?
埋没や二重のラインでの切開、ハイフアイシャワー、額のヒアルロン酸、いろいろ検討してみましたか?

埋没は皮膚の傷はほとんど目立たないし、従来の二重の切開は二重のシワに傷跡が隠れますし、悪い方法じゃないと思います。ハイフアイシャワーだって、費用がかかりますが、目があけやすいって皆さまおっしゃいます。目元のアンチエイジングに大いにありだと思っています。

眉下切開は、大幅な皮膚の切除が可能、というのが一番の特徴だと思います。
あと、目の外側のたるみをとるには眉下切開にかなうものはないです。
瞼の二重のラインで皮膚を切り取る場合、たとえばその場所で10mmも切り取ってしまうと限られた範囲にしか存在しない薄い皮膚がなくなり、分厚い皮膚が残ります。そうなってくると、二重の折り返しが、もったりして、ぼてっとした二重になります。
そういったことをかんがえると、大幅な皮膚切除が必要な場合は眉下切開が良いと思います。
また、二重のラインでたるみをとる場合、目の外側のたるみをとるためには、二重のラインから傷が外側に伸ばすしかありません。
その際に、実際の二重のラインと傷がずれて、二重の外側が二股に分かれて気になることがあります。やはり、目の幅以上に、外側にたるみがある場合、眉下切開が自然にたるみをとる良い方法だと思います。

術前は聞こえの良い言葉をひろいがち

繰り返しですが、切る手術です。
手術をする前は、「傷はなくなります」とか聞こえのよい言葉をささやく人の言葉が耳に入りやすいです。でも。ダウンタイム中には不安に押しつぶされそうになる人が多いです。不安の中検索すると、術前には見えなかったネガティブなものが見えてきます。そしてより不安になるのです。
仕方ないことですが、できる限り術後の不安を少なくするためには、しっかり術前のリサーチが必要です。疑問点や確認したい点を書き出して担当医にぶつけてください。

傷跡とか術後のツレとか

傷跡は皮膚のキメがないので、つるっとして、ひかります。光の反射が通常の皮膚とは異なるのです、メイクも乗りにくいです。いつも通りの化粧をしてもメイクがうまくいかないこともあるし、下からの光の反射で眉下の傷跡が目立つこともあり
ます。下からの微妙なライティングには要注意です。

あと、あなたが鏡を見るとき、たいていの場合において通常より目をしっかり開けてキメ顔になっています。でも、大半の時間はしっかり目を開かずに多少ボーとした顔をしていたり、だれかと話をしているときは様々な表情を作っています。眉毛もあがったり、下がったり、眉間にしわが寄ったり。

あなたの希望は鏡を見てキメ顔をしたときの、顔の決まり具合が大事かもしれませんが、それで大丈夫でしょうか?キメ顔で皮膚のゆとりがないほどに皮膚切除をすると、表情を作ったときに自分では気が付かない、妙な皺が入っている可能性があります。

自分では気が付かなかったそのような皺を、もしだれかに指摘されたら、、人前でしゃべったり、わらったりするときに、今私の表情大丈夫かな?変な皺が入っていないかしら??また指摘されたらどうしよう、、

そんな気持ちでいると、人と会ったり、しゃべったり、本来は楽しかったはずのことが億劫になる可能性があります。

そして、最悪なことに、皮膚を取りすぎてしまうことに対してできることはほぼないのです。

形成外科では、皮膚が足りない場所に、別の場所から皮膚をもってきたり、局所皮弁というものをしたり、いろいろな方法で皮膚を持ってきます。でも、どれも美しい仕上がりにはなりません。パッチワーク状になる上に、傷が入りますし、皮膚の質感や色味が変わってきます。
長年かけて皮膚がたるんでくるのを待つしかありません。

私が初めて眉下切開の手術を執刀したのは10年以上前に、自分の母にしました。
まだ、切除の加減が分からなかった私は母の希望通り、めいっぱい切り取りました。
そして、本人は不満をいいませんが、いつも母を話す時に、瞼のあらぬ方向に入るシワがずっと気になっています。
そのうちなくなるだろうと思ってみていましたが、10年以上たった今もまだそのしわは消えていません。本人が鏡を見るときには見えないシワですが、会話をしている相手にはよく見えるのです。
母の顔を見るたびに、切りすぎは良くないと心から思うのです。

眉下切開で額のシワがなくなる?いいえ、なくなりません!

「先生、眉下切開したのにまた額のシワができるようになりました。」
たまに患者様に言われるのですが、どういうことでしょう?

眉下切開したら額のシワがなくなる?そんなことはありません。額のシワが入る要因は様々あるのです。加齢による骨の萎縮や皮膚のハリがなくなったこと、そんな簡単にシワが入らなくなったら喜ばしい限りですが残念ながらそんなことはないのです。
例えば、術後は眉を動かすと痛いので、皆さん眉毛を動かさないようにします。
眉毛を上げないからシワがないだけで、また通常通り眉を上げたりできるようになれば必ずシワは入ります。
ずっと眉をあげていたことで、刻まれてしまったしわが、眉の位置が下がることでシワが薄くなることはありますが、額のシワが入らなくなることはないです。
過度な期待は禁物です。

仕上がりのシュミレーションは仕上がりの満足度を上げるため。程度の差はありますが、誤差は必ず出る。

私は眉下切開のデザインの際に必ずシュミレーションを行います。
最近本当に多くの手術をさせていただきました。そして、気が付きました。
どんなに頑張ってシュミレーションをしても誤差が大きいことがある、という事実を、しっかりと、直接的な表現で、「術前」に、患者様に説明しなければ、わかっていただけていないことがあるということを。

そもそも、眉毛は動くのです。
皆さん良くご存知のように。

眉毛は動きます。
眉毛の位置がかわったら二重の見え方はかわります。

術前は瞼に皮膚がかぶさっているので何となく眉毛が上がっている。ボトックスをご希望されない場合、その状態でデザインしています。でも術後は眉毛を動かすと痛いので、眉毛がしっかり下がった状態になりがちです。(難しいことにならない人もいる)。
もし。眉毛が完全に下がった状態で二重幅が思ったほど出なかった、という場合は術前と同じように眉毛を動かしてみてください。
二重幅がしっかりと見えてくると思います。
眉毛が完全に下がった状態での二重の完成度を求める場合、術前にボトックスをしっかりと眉毛と眉間に打っていただくのがよいでしょう。
ただし、この場合も、ボトックスが切れた後に、ボトックスを受ける前の癖が出ることによってイメージとの誤差が生じることがあります。
一筋縄ではいかないのが難しいところです。

現在の私の考えとしては、
シュミレーションは、仕上がりのデザインを保証するものではなく、大まかなデザインのイメージの共有と絶対嫌なデザインについて避けるための作業という意味合いが大きいと思っています。

ご理解ください。
もちろん、患者様のイメージと仕上がりが大幅に異なってしまった以上できる限りの修正はさせていただくつもりです。

シュミレーション通りにならないなら、なんでシュミレーションをしつこくするのでしょうか。それは、不満足な結果をできる限り避けるためです。

「自然な感じで」というイメージにおいても、術者と患者さんのイメージが同じとは限らないのです。自然な感じというのは主観的なものなので、術者にとって自然でも患者さんにとっては自然でないことは起こり得ます。
また、つった感じの目がいや、丸い目がいや、などというご希望についても、どんなものが、つった感じで、どんな目が丸いのか、というイメージの共有をするためにシュミレーションをしつこく行って、ご本人の目で確認しています。

スタート地点がかわれば、同じ距離を走ってもゴール地点が変わります。

眉下切開のデザインのスタート地点は眉ですが、眉は動きます。
眉下切開が必要な人の多くは、瞼のおもみがあり、額の筋肉(前頭筋)を使って眉毛をもちあげていますから、術後に額の筋肉の緊張がゆるんで、術後にデザインのスタート地点である、眉の位置が変わることがあるのです。
額の筋肉のゆるみまで綿密に計算して手術のデザインができればよいとおもいますが、私には現状でそこまでできません。
額の緊張は緩む人もいるし、どのタイミングでどれくらい緩むのか、人によってさまざまです。
デザインの誤差を最大限少なくするのに、額や眉間のボトックスを事前にしておくのもよいとおもいますが、しっかりボトックスをしてから余白なく手術を行った場合、永遠にボトックスを継続するならよいのですが、ボトックスが切れて再度額の緊張が戻ったときに、またイメージと少し異なった感じになることがあります。

眉下切開は、精密なデザインが難しいです。

 

手術の適応の判断について

最後になりますが、手術の適応についてです。
今までいろいろだらだらかいてきましたが、眉下切開という手術方法自体は多くの人に適応のある手術方法だと思っています。しかし、個々人の様々な要素によって手術自体は適応があるけれどもやらない方がよさそうだな、と判断することがあります。
傷跡に対する受け止め方やダウンタイム時の精神的なキャパシティは本当に個人差が大きいです。そして、それに関しては手術をする医師が判断するよりも、ご自身でよく考えていただくのが一番正確ですし、ご本人以上にわかる人はいません。

手術を迷っている皆様は、手術をすることでのメリットとデメリットをよく検討してほしいです。全て書き出してみるのもよいでしょう。
メリットばかり!と考えるようでしたら、手術を受けてみるのがよいです。
うーん、微妙と思う方は即決せず、待ってみるのがよいのではないでしょうか。
時間とともに、得られるメリットの方が全然多い、というタイミングが来ると思います。

 

手術をすることで得られるメリットとデメリットをよーーーく比較検討してみてくださいね。

手術をしたことで後悔する人が一人でも減ることを心から望んでいます。