「傷跡が消える薬は処方できますか?」
診療をしていて良く聞かれます。
患者様の言わんとすることはなんとなくわかります。
あれを処方してほしいんですね。ピンクのあれ。
しかし、形成外科医として、傷跡をいかにきれいにするかということで試行錯誤している身としてはそんな魔法の薬があったら真っ先に入手しています。
「傷跡が消える薬なんてありません!」
と言いたいところです。
そんなやり取りを続けているうちに、そもそも私と患者さんの間で「傷跡」という言葉の定義に違いがあるのではないか?と気が付きました。
我々形成外科医のいう傷跡に、炎症後の色素沈着はふくまれません。
しかし、多くの患者様にとって、虫さされ跡の黒ずみややけどの跡の黒ずみなどは傷跡として認識されているのではないでしょうか?
そもそも虫刺され跡の黒ずみややけどの跡の黒ずみは色だけが問題であれば時間が解決してくれます。
なぜならば炎症後の色素沈着であるからです。傷跡ではないのです。できればビタミンCを摂取し、紫外線を予防してください。
小林製薬から出ているアットノンというお薬が「傷跡が目立たなくなる」ということで販売されているようです。
処方薬でもアットノンと同じ有効成分であるヘパリン類似物質が入った同じような薬があります。ヒルドイドという名前でローションやクリームなどがあります。
アットノンもヒルドイドもヘパリン類似物質は0.3%含まれているので効果に大きな差はないでしょう。
ヒルドイドは皮脂欠乏症やケロイド・肥厚性瘢痕の方には保険での処方が可能です。
Amazonだとアットノンは900円前後です。ヒルドイドは保険診療で25gで600円前後、三割負担だと200円前後ですね。
病院は高いと思われるかもしれませんが、気になる傷跡の相談を専門のドクターにできますし、処方薬もリーズナブルです
傷跡の状態によってはテーピングや圧迫療法、内服薬、他の外用薬など様々な選択肢をご提案させて頂くこともあります。
傷のお悩みはぜひ形成外科にどうぞ。