ニキビは青春のシンボル?
ニキビは「青春のシンボル」などと言われることがあります。程度の差こそあれ、思春期に多くの方がニキビに悩んだ経験をお持ちかと思います。日本皮膚科学会の統計によると日本人の90%以上の人が、ざ瘡(ニキビ)を経験したことがあるとされており、とてもありふれた身近な皮膚疾患といえるでしょう。
その一方で、ありふれているが故に、ニキビは皮膚疾患としてではなく、成長の過程で誰でも通る道と捉えられがちで、皮膚の病気として医療機関で治療されてこなかったという現実があります。しかし、実際のところニキビは一過性のものではなく、程度の差こそあれ、生涯治ることのない皮膚の凹凸を残し、QOL(quality of life 生活の質)を著しく下げることがあるのです。
ニキビは皮膚科で治療する
近年、患者様の美意識の向上に伴い、ニキビの治療を積極的に求める方が増え、日本でもニキビを皮膚疾患としてしっかり医療機関で治療しようという流れができてきました。2008年10月に、既に欧米ではニキビ治療の第一選択として実績のあるアダパレン(ディフェリンゲル)という外用剤が保険治療で処方できるようになったこともあり、その流れは加速しています。
このディフェリンゲルの販売元である塩野義製薬が、2010年からニキビ患者の早期皮膚科受診のための啓発活動に力を入れており、テレビコマーシャル等を通じて、ニキビは皮膚科で治療するという考えが広く認識されるようになってきました。今現在、日本におけるニキビ治療としては、抗菌剤の内服や外用・アバタレンゲルや硫黄含有ローション・非ステロイド系抗炎症外用剤やビタミン・漢方薬の内服等を保険診療の枠組みの中で受けることができます。では、これらの治療がどういったニキビに使われるかを、ニキビの原因を踏まえて説明していきましょう。
ニキビ跡を残さないために
ニキビの正式名称はざ瘡といいます。原因は一つではなく、様々な要素が関わっています。例えば、遺伝的なものや皮脂分泌・ホルモン・角化異常に伴う毛穴のつまり・細菌などが原因となりえます。ニキビは悪化し、炎症が強くなると、ニキビ跡として目立つへこみができてしまいます。長期に渡ることの多いニキビ治療の最終目標を「目立つニキビ跡を作らないこと」と考えると、いかに早期の段階でニキビ治療を始めるかというのが大切になってきます。
それでは、ニキビがニキビ跡を作るまでの流れを簡単に説明しましょう。
① 皮脂分泌が増える
② 毛穴がつまり白ニキビができる
③ 細菌がついて赤ニキビになる
④ さらに炎症が強くなり、膿を持ったニキビになる
⑤ この炎症が長引き、強くなって目立つニキビ跡が作られる
ニキビ治療の選択は、今現在あなたのニキビがどの段階にあるかによって変わってきます。治療法の選択に関しては2008年9月に日本皮膚科学会がエビデンスに基づいてガイドラインを作成しており、当院では基本的に保険診療に関してはこれに従って行っていきます。